現在の絶えず変化する IT 環境を過去のツールを使用して管理することはできません。インフラモデルの急速な進化が続いており、管理のための動的なプロセスとテクノロジが求められています。
ビジネス環境は、数十年にわたってこの分野の特徴となってきた静的で予測可能な物理システムから、稼動中に変更および再設定できるソフトウェアデファインドのリソース環境へと移行しています。さらに、ネットワークインフラが進化するにつれ、古いモデルベースのソフトウェアシステムは、有効性を維持するためにますます多くの労力が必要になっているにもかかわらず、どんどん後れを取っています。
このような ITOps (IT 運用) 革命により、デジタルビジネス変革の波が押し寄せ、従来の IT 管理手法の変更を余儀なくさせました。その結果、現在の ITOps 手順およびプロセスが大幅に変更されただけでなく、IT エコシステムの管理も再構築されています。
Gartner 社は、こうした変化の風潮を表現するため、2017 年に AIOps (Artificial Intelligence for IT Operations: AI を活用した IT 運用) という用語を作り出しました。
AIOps は、データサイエンスと機械学習を使用して、ITOps チームが管理対象のシステムのパフォーマンスまたは可用性に影響する問題をリアルタイムで理解できるようにします。
過去数年間で AIOps 市場の分野が急速に拡大する一方で、企業が先を争ってこの新たな革新を理解し、先駆けようとするにつれ、Gartner 社に対する問い合わせは飛躍的に増加しています。
この完全ガイドでは、AIOps、その登場の原動力となった市場とテクノロジの関係、関連する課題にどのように対応できるかについて、知っておくべきことをすべて説明します。
最初に、デジタル変革と、それがどのように AIOps につながるかを理解することが重要です。
デジタル変革には、新しいテクノロジーの実装、クラウドの導入、急速な変化が含まれます。実現するには、重点を開発者およびアプリケーションへとシフトし、イノベーションの速度を上げる必要があります。以下に代表される要素の確保も伴います。
こうした新しいユーザーおよびテクノロジにより、従来のサービス、パフォーマンス管理ツール、戦略は限界に達しています。
デジタル変革を成功させ、現代のほとんどのビジネスが必要とする速度で IT が機能するようになるかどうかは、AIOps にかかっています。したがって、AIOps とは、ITOps でデジタル変革に対応するために必要なパラダイムシフトです。
AIOps は、「Artificial Intelligence for IT Operations (AI を活用した IT 運用)」の頭字語であり、ITOps (IT 運用) の未来を表します。人間の知能とアルゴリズムインテリジェンスを組み合わせて、企業が日常業務に使用する IT システムのパフォーマンスと状態を完全に可視化します。
AIOps は、機械学習と分析を使用して IT 運用を強化および自動化するハイエンドの多層型テクノロジープラットフォームです。これを使用すれば、さまざまな ITOps デバイスおよびツールから収集したビッグデータを分析し、問題を特定してからリアルタイムで自動的に対応できます。
AIOps では、サイロ化した IT データから移行して、ビッグデータプラットフォーム内部の観察データ (ジョブログや監視システムなど)、エンゲージメントデータ (チケット、イベント、またはインシデント記録内のデータなど) を集約する必要があります。
こうして統合されたデータに対し、AIOps は機械学習と分析を実行します。その結果、継続的なインサイトが得られ、自動化の実装による継続的な改善を実現できるようになります。したがって、AIOps はコア IT 機能に対する CI/CD (継続的な統合と継続的な導入) と考えることができます。
AIOps により、3 つの IT 分野 (自動化、サービス管理、パフォーマンス管理) を結び、継続的なインサイトおよび改善という目標を達成します。新しい高速でハイパースケールの IT 環境には、機械学習およびビッグデータの進歩を活用して人間やレガシーツールの限界を克服できる新しいアプローチが存在すると捉えられています。
AIOps は、ログイベント、従来の IT 監視、ネットワークパフォーマンスの異常など、企業の既存のデータソースと連携します。こうしたすべてのソースシステムから収集されるデータを数学モデルを使用して処理すれば、多くの時間と労力を要する事前フィルタリングを行うことなく、重要なイベントを自動的に特定できるようになります。
また、新たなアルゴリズムでイベントを分析し、類似する根本的な問題の兆候を示す関連アクティビティの集団を特定できます。アルゴリズムフィルタリングによって、ITOps チームが本来ならば対処する必要があるノイズレベルが大幅に低下するだけでなく、重複 (異なるグループにチケットが不要に送信されて生じる可能性がある) を回避します。
それだけでなく、仮想チームを臨機応変に集め、さまざまなスペシャリストが組織やテクノロジの境界を越えた問題に対処できるようにします。既存のインシデント管理およびチケットシステムは、AIOps の機能を活用し、既存のプロセスに直接統合できます。
さらに、AIOps を利用して自動化を強化し、人間の介入の有無にかかわらず、ワークフローをトリガーできます。また、現在の ChatOps 機能により、診断と修復の通常のコラボレーションプロセスに必要不可欠な構成要素として、既存の自動化機能を利用することも可能です。
機械学習システムの正確性と信頼性がますます高まっているため、十分に理解されている日常的なアクションであれば人間の介入なしにトリガーできるようになっています。これにより、ユーザーに影響が及ぶ前に問題を解決できる可能性があります。
AIOps プラットフォームを構成するテクノロジーは次のとおりです。
すべての AIOps プラットフォームは、以下の 3 つの機能をエンタープライズに導入するものでなければなりません。
人工知能 (AI) には、人間と同じことを大規模な環境でより迅速かつ適切に実行することが期待されています。AIOps によってデジタル変革の規模、複雑さ、スピードの課題に対応することで、これを ITOps で実現できます。具体的には次のような課題があります。
AIOps では、既存のプロセスおよびツールを連携させて、有益な情報、機能、インサイトを統合できます。企業では監視ツールを使用しますが、その領域、種類、目的はさまざまです。各ツールは、特定の業務、チーム、または会社にとって重要なものですが、他の関係者がその価値を利用することができません。
このため、労力の要するツールの合理化を図り、万能型のソリューションで個々のニーズに対応するのではなく、AIOps によりドメイン、チーム、ツールにわたるシームレスな可視化を実現して、特定のツールの活用を促します。
同様に、AIOps では実際の実用的なインシデントのみを作成して重複を回避することによって、IT サービスマネジメント (ITSM) を実現できます。さらに、段階的な ITIL (IT Infrastructure Library) の性質が原因で生じる ITSM に関するユーザーの不満を解消します。
また、AIOps は自動化をもたらします。オーケストレーションとランブックを統合して、オペレーターのために直接役立つ完全自動化または部分自動化を実現します。IT 企業は、長年にわたって大規模な自動化ソリューション用のライブラリを開発してきたため、ライブラリを正しい条件下でのみトリガーする必要があります。AIOps はこの動作を実現するだけでなく、リスクを最小限に抑え、既存の自動化への投資から最大限の価値を引き出します。
AIOps プラットフォームが適切に実装されていれば、IT スタッフが日常的なアラートに費やす時間と注意が少なくなります。IT スタッフが AIOps プラットフォームを教育することで、AIOps は機械学習とアルゴリズムを使用して進化します。その後、獲得した知識を徐々に再利用して、ソフトウェアの行動と有効性を改善します。
AIOps ツールは休息する必要がなく、監視を継続的に実行します。人間の担当者は、重大で複雑な問題やビジネスの安定性とパフォーマンスを高める取り組みに集中できます。
AIOps システムは、企業の複数の業務、リソース、サービスの因果関係を観測し、異種のデータソースを照合およびクラスタ化できます。これらの機械学習および分析機能により、有益な根本原因の分析を実行できるようになり、困難で独特な問題のトラブルシューティングおよび修復能力が高まります。
AIOps は、IT グループ間および IT 部門と他の事業部門間のワークフロー活動とコラボレーションを改善します。チームは、調整されたレポートとダッシュボードを使用して、要件とタスクをすばやく理解できます。また、他のグループが知っておくべきことを把握することなく、他のグループと連携できます。
AIOps によってノイズや邪魔になるものが取り除かれるため、IT 担当者は無関係なアラートを気にせずに重要な問題に集中できます。
AIOps は複数のデータリソースの情報を関連付けます。これにより、サイロが排除されるだけでなく、ネットワーク、コンピューティング、ストレージ (仮想、物理、クラウド) といった IT 環境全体が包括的に可視化されます。
サービス所有者とスペシャリストのコラボレーションがスムーズになるため、診断、分析、解決時間が短縮され、エンドユーザーに対するサービスの中断を最小限に抑えられます。
基盤となる AIOps テクノロジは比較的成熟していますが、これらのテクノロジを開発し組み合わせて実用化するという点では、まだ長い道のりがあります。AIOps には次のような欠点があります。
従えば必ず成功するような明確で汎用的なロードマップはありません。ただし、開始にあたって以下の一般的な指針が役に立ちます。
AIOps を初めて検討する際、既存のツールカテゴリにどのように適合するのか、すぐにはわからない場合があります。AIOps は、現在の監視、オーケストレーション、サービスデスク、またはログ管理ツールに代わるものではありません。むしろ、あらゆる領域やツールとの接点を持ち、そのすべての情報を統合および吸収します。また、すべてのツールを同時に把握するための有益なアウトプットを提供します。
こうしたツールは単体でも価値がありますが、単体で動作している状態では、適切な情報に適切なタイミングでアクセスすることが困難です。AIOps は、部分的な観点をさまざまに組み合わせて、ITOps チームが把握すべき全体像を包括的に理解できるようにするための柔軟なアプローチです。
AIOps は ITOps のまったく新しい形態ではありますが、ビッグデータと機械学習の応用はこれが初めてではありません。株式仲買業では、手動取引から機械取引への移行時に同様の ML アプローチを導入しました。ソーシャルメディアも、Google Maps、Yelp、Waze などのアプリケーション、または eBay や Amazon などのオンライン市場で ML と分析を長く使用しています。
こうした技術は、変化する状況やユーザーのカスタマイズに対するリアルタイムでの対応が必要な環境で、確実かつ広範囲に役立つことが証明されています。
AIOps での AI の導入は、機械学習と比較して前途有望です。現在は、シンプルな自動化を使用するか、自動化を ML と組み合わせることで、差し迫ったユースケースに対応できます。AI とその新しいユースケースは今もなお進化しています。いずれにせよ、人間の行動のモデリングを開始する前に、既存の ITOps で強力な AIOps 基盤を構築することが不可欠です。
ITOps 担当者は、仕事の性質上、AIOps 環境への適応に時間がかかります。その責任は、現状を維持し、企業のインフラを安定させることにあります。しかし、AIOps を幅広く応用することが新たな傾向となっているため、より多くの ITOps 部門が新しい AIOps テクノロジおよび戦略に迅速に適応しなければならなくなるでしょう。
この AIOps の完全ガイドは、お客様の企業にとって AIOps が適合するかどうか、その組み込みを開始する時期、使用方法を確認するのに役立ちます。また、それ以上に、AIOps の進展について常に最新情報を把握しておくことをお勧めします。さまざまな兆候が、この革新的なテクノロジーが成長段階にあることを示唆しています。
AIOps を組み込む必要がある場合は、ベリタスがお手伝いします。今すぐお問い合わせください。担当者からご連絡を差し上げます。
業界をリードするアドバイザリ企業であり、AIOps を提唱した Gartner 社から、ベリタスは 17 回にわたりデータセンターのバックアップとリカバリ部門のリーダーに選出されています。以下のレポートをご確認ください。また、Veritas NetBackup の詳細については、こちらをご覧ください。
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