専用バックアップアプライアンス (PBBA) は、バックアップとリストア操作にスピードと信頼性をもたらします。このデバイスは、クラウドの使用が増加し、PBBA の使用が冗長となるおそれのある関連テクノロジーが急増しているにもかかわらず、オンプレミスの運用と同様にクラウド環境内でも信頼性が保たれています。
PBBA は、10 年以上にわたり、世界中の企業における多くのバックアップおよびリカバリ機能に不可欠な基礎コンポーネントとなっています。クラウドストレージサービスの利用増加をよそに、PBBA 市場は今後 10 年も引き続き成長が見込まれています。
専用バックアップアプライアンス (PBBA) とは、バックアップデータ保存のために最適化および構成されたスタンドアロンのディスクベースストレージデバイスを指します。このようなデバイスには、バックアップアプリケーションからのデータを受信するターゲットとなるものと、バックアップソフトウェアとハードウェアが緊密に統合されているものがあり、後者は統合型バックアップアプライアンスとも呼ばれます。
主にバックアップデータストレージとして、PBBA は一般的に、重複排除、暗号化、圧縮、冗長ハードウェアコンポーネント、自動セットアップとメンテナンスなどの機能を備えています。
PBBA の定義によると、このようなデバイスは、他のサーバーに影響を与えることなく、バックアップ関連のワークロードのみを実行します。ワークロード専用の独立したデバイスであるため、アクティブストレージやアプリケーションを扱う他のデバイスのリソースを奪うことはありません。PBBA の多くは、既存のアーキテクチャと簡単に統合できます。複数のアプライアンスを使用する場合でも、一元化されたコンソールにより、バックアッププロセスが簡素化されます。
企業は、データ保護やディザスタリカバリのために、専用のバックアップアプライアンスを使用しています。バックアップに特化したデバイスを配備することで、マルウェア攻撃、ハードウェア障害、自然災害などの際に、業務の復旧および回復が可能になります。
一般的にバックアップアプライアンスベンダーが市場に出している PBBA の機能には、以下のようなものがあります。
バックアップアプライアンスは、PBBA の構成とオプションによって専用のものになっています。他のバックアップアプライアンスとは一線を画し、目的に合わせたアプライアンスを実現します。PBBA の特徴は以下のとおりです。
PBBA は、ストレージデバイスやディスクアレイの種類を問わない、ターンキー方式 (すぐに使用できる) のシステムです。プラグアンドプレイ設計により、既存の IT インフラに簡単に設定、追加できます。
通常、企業では専用のバックアップアプライアンスをバックアップデータのターゲットとして設定します。このような場合、バックアップソフトウェアがホストサーバー上で実行され、データ転送の開始、バックアップのスケジュール設定、リストアを自動化します。しかし、PBBA では、メーカーがそのソフトウェアをバックアップハードウェアに組み込んでいます。
さらに、クラウドストレージとバックアップソフトウェアのゲートウェイデバイスとして、PBBA を導入することもできます。仮想テープライブラリ (VTL) でディスクとテープのインターフェースを実現するように、PBBA をクラウドゲートウェイデバイスとして使用することで、クラウドへの書き込みが可能になります。これにより、クラウドストレージがローカルディスクのように表示されます。
小規模な企業であれば、適切なストレージ容量を備えた単一のアプライアンスで十分でしょう。しかし、エンタープライズ規模の企業や中規模企業では、ワークロードやリソースを共有するために複数の専用アプライアンスを使用することがあります。これから登場する新しい世代のマシンを、スタンドアロンのリポジトリとしてではなく、1 つのストレージプールにクラスタ化することが可能です。
バックアップアプライアンスのベンダーや PBBA のオプションを検討する場合、このシステムを効果的に機能させるための基本的な要件があります。その要件は次のとおりです。
企業は 10 年以上前から、バックアップとリカバリインフラの基礎コンポーネントとして PBBA を使用してきました。IDC を出典とする以下の数字は、PBBA の本質を表しています。
PBBA 市場は、その規模にもかかわらず、比較的専門性が高く、参入企業も限られています。約 15 年前に市場が開拓されて以来、大きな成長を遂げ、いくつかの発展を遂げてきました。たとえば、最近では、PBBA デバイスは、より高速なデータリストアと二次的なユースケースを用いて、ハイブリッドデータ保護の問題に対応するように進化しています。
市場要件の変化や技術の発展には、このような進歩が不可欠でした。たとえば、上記の例では、クラウドコンピューティングやハイブリッドシステムの需要によって PBBA の進化が求められました。
短期間しかデータを保存できないクラウドゲートウェイデバイス (主にデータ転送バッファとして使用) とは異なり、PBBA の設計では、データバックアップの存続期間までデータを保持できます。また、迅速なデータリストアも可能です。
ディスクベースの PBBA バックアップおよびリストアソリューションには、以下のセグメントがあります。
PBBA 市場評価額は、2019 年には 40 億ドル以上に達しました。専門家のレポートによると、この業界は 2020 年から 2024 年の間に 86 億ドルの価値を生み出し、CAGR (年平均成長率) は 10.6% になると予想されています。この成長は、企業のデータ保護、バックアップ、およびリストアのインフラへの注目度の高まりによるものです。
データ保護、バックアップ、リカバリのインフラに対する企業の注目度と意識の高まりにより、予想は現実となるでしょう。また、攻撃やデータの損失が発生した後に、企業が機能や業務を迅速に復旧させるための役割も果たすことになります。GDPR (一般データ保護規則) などのデータセキュリティ対策や IoT 市場の成長も、PBBA 市場をけん引する要因となっています。
製造業では、企業によってビジネスに不可欠なデータが日々大量に生成されているため、業界の中でも高い CAGR を維持しています。ここでいうデータには、エンジニアリング図面や製品のドキュメントから、製品価格や原価計算までが含まれます。そのため、メーカーは PBBA をオンプレミスで用意する必要があります。
PBBA 業界の市場をけん引する要因としては、継続的な進歩やバックアップ技術、大規模な情報ブーム、クラウドストレージやコンピューティングへの移行、その他関連する技術の進歩などが挙げられます。また、データ保護、バックアップ、リカバリのセットアップに注力する組織や企業が増えていることも、市場の大きな原動力となっています。
企業のデータストレージへのニーズが高まっている北米は、主要な市場地域となっています。しかし、欧州については、データ保護とセキュリティに関する政府の規則や規制、たとえば一般データ保護規則 (GDPR) などがあるため、他の地域に比べて速いペースで成長すると専門家は予想しています。
一方、アジア太平洋地域では、データのバックアップ、リカバリ、保護に対する企業の意識が高まっているため、他の地域を抜いてトップの市場になると考えられます。
当初、PBBA はテープストレージの代替品でした。その結果、この 20 年間で多くの企業がディスクベースのアプライアンスに切り替えました。そのため、PBBA 市場は、2016 年までに急速かつ堅調な成長を遂げました。IDC のデータによると、2017 年にはやや落ち込みましたが、2018 年、2019 年に回復しています。
2017 年の市場の落ち込みは、クラウドやハイブリッドシステムへの市場の急激な転換に起因しています。この間、多くの企業が完全なハードウェアベースのオンプレミス型 PBBA システムから脱却しました。
しかし、2018 年は、効率的なデータ保護とリカバリに対する企業の関心の高まり、IoT 市場の上昇、GDPR ポリシーのような厳格なデータ保護とセキュリティ規制に起因する PBBA ソリューションへの反発と関心の再燃が見られました。その他の傾向としては以下のものがあります。
PBBA は、主にデータのバックアップとリストアに関する課題を解決します。急成長中のスタートアップ企業から大規模企業まで、あらゆる種類と規模の企業に特に有用です。
主なメリットは以下のとおりです。
PBBA は、単にバックアップデータを保管するだけではありません。一般的には、セキュリティと効率を向上させるデータ保護機能とストレージ機能を備えています。具体的には、以下のとおりです。
当然ながら、PBBA とテープメディアは相反するものではありません。企業では一般的に、バックアップの 1 つ目のコピーとして PBBA に書き込み、2 つ目のコピーをテープに作成しています。これは Disk-to-Disk-to-Tape (D2D2T) とも呼ばれます。これは、PBBA による迅速なオンサイトデータリストアに加えて、オフサイトのテープストレージによる安全性を提供することで、企業のディザスタリカバリや確実なデータ存続を可能にするものです。
企業は、上記のプロセスを連続して、または並行して実行することができます。最近では、Disk-to-Disk to-Cloud (D2D2C) アーキテクチャを用いて、データをクラウドにコピーする企業も現れてきました。このアプローチの場合、D2D2T と同様のデータ管理のメリットが得られますが、テープの処理は不要です。
PBBA を使用する最大の欠点は、システムがバックアップとリカバリという 1 つの目的にしか対応していないことです。その中に保存されているデータは重複排除されています。つまり、データを断片化して多数のブロックに分散して保存しています。また、このアプライアンスは、データをバックアップソフトウェア独自の形式で保存します。そのため、分析などの他の目的には利用できません。
また、データのリハイドレーション (断片化したデータブロックを完全なものに再構成すること) に要する時間が、リストア時間に影響を与えることがあります。
幸いなことに、PBBA 業界はこれらの欠点に対応して、フラッシュストレージ機能やさまざまなアーキテクチャ要素を追加することで、データのリストアを高速化し、保存データを二次的なユースケースに開放しています。
PBBA とは、バックアップアプリケーションから明示的に送られてくるデータのバックアップを可能にするディスクベースのソリューションを指します。企業は PBBA をスタンドアロン構成で導入していますが、その設計により、複数のオペレーティングプラットフォームやアプリケーション全体でバックアップおよびリカバリウィンドウを短縮して、バックアッププロセスを改善することができます。
また、ディスクベースであるため、テープベースのソリューションに比べてネットワーク遅延 (データ通信の遅延) の影響を受けにくくなっています。PBBA は主に、データ保護とディザスタリカバリに使用されています。また、災害、ハードウェア障害、ランサムウェア攻撃などに対するセキュリティも強化されています。
PBBA は現在、バックアップとリストアの運用を最適化したいと考えている多くの企業にとって、データ保護の基礎となるテクノロジーです。PBBA 市場の売上高は 40 億ドルを超え、2019 年に企業がバックアップとリカバリのインフラに費やした総額の約 3 分の 1 を占めています。
PBBA は、テープに関する問題解決のために設計されたにもかかわらず、オンプレミスのデータを迅速にリストアし、レプリケーションを提供することで、クラウド環境に適したソリューションであり続けています。